やあやあ、まあちょっと聞いてくれよ。
最近またワイドショーが世間を賑わせているね。京都で起きた小学6年生・安達結希くんの死体遺棄事件、TBSやテレビ朝日がこぞって特集を組んで、容疑者の父親が乗った車の痕跡を検証したり、母親の肉声を霊媒師から入手したりと、連日報道が続いているだろう?ああいう映像を見るたびに、おじさんは「ワイドショーってのは本当によくできた番組形態だなあ」と感心するんだよ。
でもさ、君はワイドショーがいつ始まったか、ちゃんと知っているかい?
ワイドショーの誕生は1964年、東京オリンピックの年だ
ワイドショーの第一号は、1964年4月、日本教育テレビ(NET、現在のテレビ朝日)が放送を開始した『モーニングショー』だよ。東京オリンピックが開催されたまさにその年さ。アメリカのNBCで放送されていた『TODAY』という番組を参考に作られた、朝の情報番組だね。
当時はまだビデオ撮影・再生の技術がなかったから、スタジオからのトークと新聞社から提供されたニュース原稿が中心だったんだ。今みたいに現場中継なんて夢のまた夢だったわけだよ。
その翌年の1965年4月には、同じNETが昼の時間帯に『アフタヌーンショー』を開始。その後、各局が追随して、フジテレビの『小川宏ショー』、日本テレビの『11PM』(深夜)、そして1966年11月には『2時ですこんにちは』(日本テレビ・読売テレビ)と、次々とワイドショーが誕生していったんだ。
「ワイドショー」という言葉、実は和製英語だよ
「ワイドショー(Wide Show)」って英語みたいだろう?でもこれ、実は日本で生まれた和製英語なんだ。英語圏では「talk show」とか「morning show」と呼ぶのが一般的でね、英語話者に「Wide Show」と言っても通じないんだよ。
芸能リポーターが生まれたのも1976年
1976年、ワイドショーの番組構成に芸能ニュースがメインラインナップとして加わるようになった。それに伴い、テレビ局と専属契約をした「芸能リポーター」という職業も誕生した。今でも活躍しているベテランリポーターたちは、まさにこの時代に生まれた職業の担い手なんだよ。
オウム真理教事件の「特需」
1995年のオウム真理教事件は、ワイドショーにとって「特需」と呼ばれるほどの出来事だった。麻原彰晃の逮捕護送劇はマラソン中継のような盛り上がりを見せ、視聴率が爆発的に上昇したんだ。ただし翌1996年には、「TBSビデオ問題」が発覚する。TBSが坂本弁護士一家殺害事件に関連した映像をオウム側に事前に見せていた問題で、TBSは一時期、平日午前のワイドショー枠から撤退することになったんだよ。
地方局発のワイドショーが全国制覇した時代
2000年代後半から2010年代にかけて、コスト削減を迫られたキー局が取った戦略は面白いよ。読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』や、CBCテレビ制作の『ゴゴスマ』など、もともとは関西・東海のローカル番組だったものが全国ネットに発展したんだ。東京のキー局が全国に番組を提供するのが当たり前だった時代から、地方局制作番組が全国を席巻する時代に変わったわけさ。
2021年、TBSがまったく違うアプローチで勝負
2021年4月、TBSテレビは朝の時間帯に「ニュースには一切触れない」という異色の番組『ラヴィット!』を投入した。芸人やタレントが毎日ゆる〜く楽しいトークをするという、まるでワイドショーの対極を行くような番組だよ。最初は低視聴率だったが、徐々に知名度が上がって人気番組になっていった。重い社会ニュースに疲れた視聴者の心を掴んだんだろうね。
若者はワイドショーを見なくなっている
電通メディアイノベーションラボが2018年11月と2020年12月に行った「頼りにするメディアに関する調査」によると、若年層を中心にワイドショーや情報バラエティに接触しない層が増えているんだ。スマートフォンでYouTubeやSNSを見る方が手軽だからね。
でも、京都の子どもの事件みたいなものが起きると、やっぱり多くの人がテレビの前に集まるだろう?現場検証の映像、関係者の証言、専門家の分析…。ああいう「その日のうちに答えを出そうとする」報道の形は、60年以上続くワイドショーが作り上げた文化なんだよ。
おじさんに言わせれば、ワイドショーは「時代の鏡」だ
1964年の東京オリンピックの年に産声を上げて以来、ワイドショーは日本社会の出来事をリアルタイムで映し続けてきた。オウム事件も、TBSビデオ問題も、そして今の京都の事件も、ワイドショーという「時代の鏡」に映し出されることで、日本全国の人々が同じ問題を共有してきたんだ。
君もたまには、見ているワイドショーの歴史に思いを馳せてみてくれよ。1964年から60年以上、日本のお茶の間に語りかけ続けてきた番組形態——それがワイドショーってやつさ。
じゃあ、また次回の豆知識を楽しみにしてくれよな!
おじさんのうんちくコーナー:「情報番組」という呼び名の裏事情
1990年代から2000年代にかけて、各局は「ワイドショー」という呼称を避けて「情報番組」と呼ぶようになったんだ。なぜかって?「ワイドショー」というと「芸能ゴシップや興味本位の報道」というイメージがついてしまったからさ。社会問題や政治経済も扱う「真面目な番組」だとアピールするために、呼び名を変えたわけだよ。でも実態は…まあ、君も毎日見てればわかるだろう(笑)。
ちなみに2013年9月30日からは、キー局の夕方ニュースの開始時刻が17時前後から15時50分頃(約16時)に早められた。これにより午後の「情報番組」枠がさらに拡大し、ワイドショー化が急速に進んだんだ。