やあやあ、おじさんだよ。今日はちょっと熱い話をしようじゃないか。

2026年4月4日、NHKの「新プロジェクトX」でこんな回が放送されたんだ——「英国を救った高速鉄道」。日本のメーカーがイギリスの鉄道を本当に「救った」なんて、にわかには信じられないだろう?でもこれ、全部本当の話さ。おじさんが今日は存分に解説してあげよう。

イギリスを走る「日本製新幹線」の正体

その列車の名前は Class 395、通称「ジャベリン(Javelin)」。製造したのは日立製作所、日本のあの日立だよ。

路線はイギリス初の高速鉄道 HS1(High Speed 1)。ロンドンのセント・パンクラス駅からチャンネルトンネルまでの108kmを結ぶ路線で、2003年に全線開業した。このHS1を走るために作られたのがClass 395なんだ。

最高速度は時速225km。6両編成で1編成あたりの定員は約346人。2009年に営業運転を開始して、現在もケント州のアシュフォード、フォークストン、ドーバーなどへの通勤路線として毎日バリバリ走っているよ。

そして2012年のロンドンオリンピックでは、選手村のあるストラットフォードとアシュフォードを結ぶシャトル列車として活躍。あの大舞台でも日本の技術が縁の下を支えていたわけさ。

日立「崖っぷち」からの逆転劇

ここからが「プロジェクトX」的な本番だよ。まあ聞いてくれよ。

2005年当時、日立の鉄道事業は正直言って苦しかった。国内の新幹線車両製造は好調だったが、海外展開はほぼゼロ。そこに舞い込んできたのがイギリスからの入札案件、Class 395の製造契約だった。

ライバルは、アルストム(フランス)やボンバルディア(カナダ)といった鉄道大国の巨人たち。鉄道王国ヨーロッパのど真ん中で、海外実績がほぼない日立が真っ向勝負を挑んだんだ。無謀とも言える挑戦だよ。

ところが日立には切り札があった。新幹線で培った走行安定性と信頼性だ。日本の新幹線は1964年の東海道新幹線開業以来、60年以上にわたって死亡事故ゼロの記録を誇る。この安全技術を前面に押し出して、2004年に日立はClass 395の製造を受注。総契約額は約4億5000万ポンド(当時レートで約900億円)という大型案件だった。

開発を支えた名もなき鉄道マンたち

しかし受注はゴールじゃない、スタートだった。

イギリスの線路規格は日本と違う。電気方式だって、保安システムだって別物だ。日立の技術者たちは山口県笠岡の工場(現・山口県下松市の笠岡工場)に籠もり、ゼロから設計を見直した。現地法人を設立してイギリス人技術者とも連携し、2007年に車両が完成。2009年6月から営業運転が始まったとき、イギリスの鉄道関係者は「日本の鉄道はここまで来たか」と驚いたというんだ。

おじさんの豆知識コーナー:「ジャベリン」という名前の由来

Class 395の愛称「ジャベリン(Javelin)」、これはやり投げの槍のことだよ。2012年ロンドンオリンピックに合わせてつけられた愛称で、鋭く速く突き刺さるイメージがある。

じつはイギリスでは列車に愛称をつける文化が根強くてね、歴史的な蒸気機関車「フライング・スコッツマン」(1923年製造、最高速度160km/hを記録した伝説の機関車)から続く伝統なんだ。日本では「のぞみ」「はやぶさ」みたいに列車の「愛称=運行系統名」が多いけど、イギリスでは「この1編成にこの名前」という個体名を与えることも多い。文化の違いが面白いよね。

さらにもう一つ。Class 395が走るHS1は、フランス側ではユーロスターも通るLGV Nord(北フランス高速線)に直結している。つまりこの路線、実はパリやブリュッセルまで繋がっているグローバルな路線なんだよ。ロンドンからパリまでわずか2時間15分、それを支えるインフラの一部として日立製の車両が走っているわけだ。

この受注が開いた「日立鉄道帝国」の扉

Class 395の成功は、日立にとって単なる1件の受注じゃなかった。これが海外鉄道事業の足がかりになったんだ。

2012年、日立はイギリス政府からインターシティ・エクスプレス・プログラム(IEP)という超大型案件を受注する。これはイギリスの幹線鉄道を刷新するプロジェクトで、総額約55億ポンド(当時で約7000億円)という桁違いのスケール。Class 395での実績がなければ、この受注は絶対になかったと言われているよ。

さらに日立はイギリスのカウンティ・ダラムにあるニュートン・エイクリフ工場(2015年開設、従業員約900人)を建設して現地製造体制も整えた。いまや日立レールは、イタリアのフィンメッカニカ(アンサルドブレーダ)を買収するなど、世界トップクラスの鉄道メーカーの一角を担っているんだ。

2005年の崖っぷちから約20年。1本の受注がここまでの展開をもたらすとは、当時の関係者も思わなかっただろうね。

まとめ:技術は国境を越える

おじさんに言わせれば、この話が面白いのは「技術の普遍性」を証明しているところだよ。

言葉も文化も線路の幅も違う国で、日本人技術者たちが積み上げてきた新幹線の知恵が「そのまま通用した」——これってすごいことだよ。ロケットを作る話でも、半導体の話でもなく、毎日通勤客を運ぶ「普通の鉄道」で起きた逆転劇だからこそ、リアルな感動があるよね。

「新プロジェクトX」を見た人も、見ていない人も、次にニュースで「日立」や「イギリス鉄道」という言葉を聞いたとき、今日の話を思い出してくれよ。そのときは「ああ、あのジャベリンの話か」ってニヤリとしてくれると、おじさんは嬉しいよ。

じゃあまた、次の豆知識でな!