やあやあ、久しぶりだね。今日はちょっと重めの話題を持ってきたよ。

北朝鮮専門のメディア「デイリーNK」が最近報じていることが、なかなか興味深いんだ。金正恩の娘・ジュエをめぐる権力継承の動き、そして中国との経済摩擦——どれも「北朝鮮ってそういう国だよね」で片付けるには惜しい話ばかりさ。おじさんに言わせれば、これは現代史の最前線を見ているようなもんだよ。

デイリーNKってどんなメディアなんだ?

まず「デイリーNK」について知っておこう。2004年に韓国・ソウルで創刊されたオンラインメディアで、脱北者ネットワークを駆使した内部情報の発信で知られている。本部はソウル市内に置かれ、北朝鮮国内の協力者(いわゆる「記者」)からリアルタイムに近い形で情報を入手するという、ほかのメディアには真似できない取材網を持っているんだ。

日本語版も運営されており、Yahoo!ニュースなどにも記事が配信されている。北朝鮮情勢を追うジャーナリストや研究者にとっては欠かせない一次情報源のひとつになっているよ。

金正恩、娘・ジュエのために「格下げ」を断行

さて、2024年から2025年にかけてデイリーNKと関連メディアが繰り返し報じているのが、金正恩による権力の集中・独占の動きだ。

ジャーナリストの高英起氏がYahoo!ニュースで指摘しているのは、「すべては娘ジュエのために」という視点だ。金正恩は現在、実父である金正日の功績を相対化し、さらに祖父の金日成についても「神話的な地位」を少しずつ引き下げる動きを見せているという。

なぜか? 答えはシンプルで、「ジュエが将来後継者になったとき、先代2人の偉大さに埋もれないようにするため」だというんだ。

金正日が死去したのは2011年12月17日。それから十数年かけて、金正恩は着々と自分の「個人崇拝体制」を構築してきた。2020年代に入ってからは、党の規約から「金日成・金正日主義」という表現を変更するなど、イデオロギー面でも自分中心の再編を進めていると報じられている。

娘・ジュエが初めて公の場に登場したのは2022年11月、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」の発射現場でのことだった。当時10歳前後と見られる少女が金正恩の隣に立つ姿は世界に衝撃を与えた。それ以降、ジュエは軍事パレードや重要行事に繰り返し登場しており、後継者候補としての「見せ方」が着実に進んでいるんだよ。

おじさんのうんちくコーナー:北朝鮮の「白頭の血統」とは

まあ、聞いてくれよ。北朝鮮では「백두혈통(ペクトゥ血統=白頭の血統)」という概念が権力正統性の根拠になっているんだ。「白頭」とは朝鮮半島最高峰・白頭山(標高2,744m)のことで、金日成が抗日パルチザン活動の拠点にしたとされる聖地だ。

金王朝はこの「白頭山の血」を引く者だけが最高指導者になれるという論理を70年以上にわたって維持してきた。面白いのは、金日成の実際の出身地は平壌近郊の万景台(マンギョンデ)であり、白頭山とは地理的にかなり離れているという点だよ。それでも「白頭の血統」という神話は北朝鮮社会に深く根づいており、ジュエもまさにその「血統」の継承者として位置づけられている。

中国の北朝鮮離れ——「水産投資」で見えた現実

もう一つ、デイリーNK関連で注目されているのが北朝鮮の対中投資呼びかけの話だ。

高英起氏の報道によれば、北朝鮮は中国側に対して水産業への投資を呼びかけているという。北朝鮮の排他的経済水域(EEZ)は豊かな漁場として知られており、東海(日本海)では明太子の原料となるスケトウダラや、カニ類の漁獲が期待できる。

ところが、中国側の反応は極めて冷ややかなんだ。その理由は「過去の失敗経験」にある。

2000年代から2010年代にかけて、中国の企業や個人投資家が北朝鮮に積極的に投資した時期があった。合弁事業、鉱山開発、観光施設の整備——さまざまな分野で資金が流れ込んだ。しかし国連安保理による制裁強化(特に2017年の決議2371号・2375号・2397号)と、北朝鮮側の一方的な契約変更・事業凍結によって、多くの中国人投資家が巨額の損失を被った。

「手痛い失敗」という表現がまさにそれを示しているよ。信頼関係を一度失った相手にまた投資するかといえば、そりゃ誰だって慎重になるよね。

北朝鮮の外貨獲得源はどこへ?

中国からの投資が見込めない中、北朝鮮の外貨獲得はどうなっているのか。デイリーNKが継続的に報じているのは以下の経路だ。

  • ロシアへの兵器・弾薬輸出(2023〜2024年に急増、砲弾輸出量は推計で数百万発規模)
  • サイバー犯罪(国連パネルの2024年報告書では、2023年だけで約7億5000万ドル相当の仮想通貨が北朝鮮関連ハッカーに盗まれたと推計)
  • 中国経由の石炭・砂など地下資源の密輸

ロシアとの急接近は、ウクライナ侵攻(2022年2月開始)以降に本格化しており、金正恩が2023年9月にロシア極東を訪問してプーチン大統領と会談したことが象徴的な出来事として記録されている。

まとめ——デイリーNKが照らす「閉じた国」の現在地

おじさんに言わせれば、デイリーNKの報道が面白いのは「公式発表ゼロの国」の内側を覗かせてくれる点なんだよ。

金正恩の娘・ジュエへの権力移譲準備、中国との経済的な信頼喪失、そしてロシアとの急接近——これらを点でなく線でつなぐと、北朝鮮という国が今どこへ向かっているかが見えてくる。

外から情報が入りにくい国だからこそ、断片的なニュースの背景をしっかり押さえておくことが大事だ。次にデイリーNKの記事が流れてきたとき、「ああ、あの文脈か」と思えるようになってくれたら、おじさんは嬉しいよ。

それじゃあ、また次の話題でね。