やあやあ、久しぶりだね。今日はちょっとビジネスの話をさせてくれよ。

「AI、AI」って最近どこを向いても聞くだろう?おじさんも毎日のようにニュースで目にするんだが、そのAIが今、企業の「個性」を根こそぎ奪いかねない、という話が出てきているんだ。これ、実は相当おもしろい話でね。

PwCが「AIで市場が同質化する」と警鐘を鳴らした

まず、今回の話の発端を教えておこうか。世界4大会計事務所のひとつ、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)が最近レポートを出してね、「AIによってBtoC市場が同質化していく」という警告を発したんだよ。

PwCといえば、1998年にプライスウォーターハウスとクーパース・アンド・ライブランドが合併して誕生した巨大ファームで、現在は世界151カ国に約36万人以上の従業員を抱えている。日本でもPwCジャパングループとして、監査・税務・コンサルティングの各分野で数千人規模が活動中だ。

そのPwCが言うには、企業がこぞってAIを導入すると、製品・サービスの「標準化」が一気に進むというんだ。AIが提案する最適解はどの会社も似たり寄ったりになる。つまり「うちのほうが良い」という差別化ポイントが消えていく、ということだよ。

おじさんに言わせれば、これはかなり本質を突いた指摘だと思う。

AIエージェントが「発見から配送まで」を統合する時代

Googleが2025年のNRFで見せた未来

話はさらに広がってくるんだけど、2026年1月にニューヨークで開催された世界最大の小売業カンファレンスNRF(National Retail Federation)のレポートによると、Googleがとんでもないビジョンを打ち出したんだよ。

GoogleのAIエージェントが、消費者の「欲しい」という気持ちの発見から、商品の検索・比較・購入・配送まで、全プロセスを一気通貫で統合してしまうというんだ。

NRFは毎年1月にニューヨークのジャビッツセンターで開かれていて、2026年大会には世界40,000人以上が参加した。小売業界では「業界の五月祭」とも呼ばれるほどの一大イベントさ。

VisaはAI自体が「お客様」になると言い出した

さらにぶっ飛んだことを言い出したのがVisa(ビザ)だ。2026年に発表したレポートの中で、Visaは「次のコマースの時代は、AIエージェントが顧客となる」と定義した。

要するに、人間がポチっと買うんじゃなくて、あなたの代わりにAIエージェントが自動で注文・決済まで完結させる世界が来るというんだ。Visaはその決済インフラの整備をすでに進めているらしい。

これ、2025年時点のEC市場が世界で約6.3兆ドル規模だったことを考えると、その市場での「購買主体」がAIに移行するインパクトは計り知れないよ。

おじさんのうんちくコーナー:「コンサルビッグ4」の歴史、知ってたかい?

今回話題のPwCが属する「ビッグ4」ってのはね、世界の会計・コンサルティング業界を牛耳る4大ファームのことさ。

  • PwC(プライスウォーターハウスクーパース):1998年合併設立、約36万人
  • Deloitte(デロイト):19世紀創業、世界最大規模で約46万人
  • EY(アーンスト&ヤング):1989年合併設立、約39万5,000人
  • KPMG(ケーピーエムジー):1987年合併設立、約27万3,000人

実はこの4社、もともとは「ビッグ8」だったんだよ。1980〜90年代に合併が相次いで8社→6社→4社と集約されていったんだ。1989年には当時のビッグ8の一角、アーサー・ヤングとエルンスト&ウィニーが合併してEYが誕生。さらに2002年にはエンロン事件の余波でアーサー・アンダーセンが解体され、業界は一気に「ビッグ4」に収束したんだ。

日本でいえば、1990年代まで「8大監査法人」なんて言われてたのが、今じゃ4大グループに整理されているのと同じ流れさ。

「選ばれる理由」を作れるか——PwCの処方箋

さて、PwCが「AI同質化」の問題を指摘しただけで終わったかというと、そうじゃないんだ。ちゃんと処方箋も出している。それが「標準化への対応」と「選ばれる理由の再構築」の両輪戦略だよ。

具体的にはこういうことだ。

  1. AIで効率化できる部分はとことん標準化して、コストを下げる
  2. AIには真似できない「感情的な価値」「体験」「ブランドストーリー」に投資する
  3. 顧客データを使ったパーソナライゼーションを、競合より一歩深く実行する

おもしろいのはね、「標準化しつつ、差別化もしろ」という一見矛盾した話を同時にやれ、と言っていることだよ。でもよく考えると、これって昔から老舗の名店がやってきたことと同じなんだよな。

例えば、京都の老舗料亭が仕込みにミシュラン三ツ星レベルの標準化された技法を使いながら、おもてなしの心という「体験価値」で差別化するのと同じ発想さ。

AIが「発見」してくれても、「選ばれる」かどうかは別問題

GoogleのAIエージェントが買い物の全プロセスを統合するとして、そのエージェントに「このブランドを選ばせる」ためには何が必要か。

Visaが言う「AIが顧客になる時代」では、AIは感情で動かない。レビュー数、価格、配送速度、返品率といった定量的な指標で比較・選択してくる。だからこそ、そのスコアを上げることと、人間消費者の感情に訴えることを、別々の戦略として持たなきゃいけないわけだ。

まとめ——おじさんからひとこと

まあ、聞いてくれよ。AIが普及すればするほど「みんな同じ」になっていくって、なんか皮肉だと思わないか?

技術が進歩して便利になるのはいいんだが、その結果として「個性のない市場」が生まれるとしたら、それは豊かさとは言えないよな。

PwCの警告も、GoogleやVisaの新戦略も、要は「AI時代に人間らしさをどう売るか」という問いに集約されると思うんだよ。

36万人のプロ集団が束になって分析した結論が「人間的な価値を大切にしろ」というのは、なんとも味わい深い話じゃないか。

君はどう思う?AIに買い物を任せる時代が来ても、自分で「これがいい」と選びたいものはあるかい?ぜひ考えてみてくれよ。おじさんはまだしばらく、自分の目で選び続けるつもりだよ。