やあやあ、久しぶりだね。今日はちょっと遠い話をしようと思うんだ。南半球にあるニュージーランドのことさ。
キウイフルーツの産地で、ラグビーが強くて、景色がきれいな国……そんなイメージを持っている人も多いだろう?でもね、今のニュージーランドはそんな牧歌的な話じゃ済まない状況になってるんだよ。おじさんに言わせれば、これは対岸の火事じゃなくて、日本がまさに突きつけられている問題と瓜二つなんだ。
ニュージーランドから若者が消えていく
まず数字を見てほしい。ニュージーランド統計局のデータによると、2023年から2024年にかけての1年間で、ニュージーランドから純移出した人口はおよそ5万人以上にのぼった。これは人口約500万人の国にとって、実に1%規模の人口流出なんだ。しかも流出の中心は20代〜30代の若者層なんだよ。
行き先はほとんどがオーストラリアさ。ニュージーランドとオーストラリアは1973年に締結した「トランス・タスマン・トラベル・アレンジメント(TTTA)」によって、両国民がビザなしで相手国に住んで働ける権利を持っているんだ。だから若者が給料の高いオーストラリアに流れていくのは、制度的にも非常に簡単な話なんだよ。
オーストラリアの最低賃金は2024年時点で時給23.23豪ドル(日本円で約2,300円)に対し、ニュージーランドは時給23.15ニュージーランドドル(約2,100円)。数字だけ見ると近いように思えるが、生活コスト・税制・社会保障をトータルで見ると、オーストラリアのほうが圧倒的に若者に有利なんだ。
中国依存という落とし穴
ここからがおじさんの本題さ。なぜニュージーランドが苦しくなったかというと、経済の対中依存度が急上昇したことが大きな原因のひとつなんだよ。
ニュージーランドの輸出全体に占める中国向けの割合は、2000年代初頭にはわずか3〜4%程度だった。それが2022年には約28%にまで膨らんだんだ。主な輸出品は牛乳・バター・チーズなどの乳製品で、特にフォンテラ(Fonterra)という乳業協同組合が中国市場に大きく依存している。フォンテラは2024年の売上高が約222億ニュージーランドドル(約2兆円)に達する巨大企業だが、その収益の多くが中国向けの粉ミルク・乳製品輸出によるものなんだ。
ところが2023年以降、中国経済が減速し、不動産バブルの崩壊とともに消費が落ち込んだ。そのあおりで乳製品価格が下落し、ニュージーランドの農業セクターが直撃を受けたというわけさ。これは「一国に卵を全部盛った」典型例だよ。
日本と共通する「若者が絶望する構造」
まあ、聞いてくれよ。ここが一番重要な話なんだけど、ニュージーランドの状況は日本にとって「他人事」じゃないんだ。
具体的に比較してみよう。
住宅価格の異常な高騰
ニュージーランドの主要都市オークランドの住宅中央値は、2021年のピーク時に100万ニュージーランドドル(約9,000万円)を超えた。その後金利上昇で若干下がったとはいえ、2024年でも約80万ニュージーランドドル(約7,200万円)前後と高止まりしたままさ。平均世帯年収の約10倍という水準で、若者が自力でマイホームを購入するのはほぼ不可能な状態なんだよ。
東京だって似たような話だろう?2024年の東京都区部の新築マンション平均価格は1億円を突破している。年収倍率で見ると、もはや庶民が手を届かせられる水準じゃなくなってきているわけさ。
少子化と人材流出の悪循環
ニュージーランドの出生率は2023年時点で1.56(合計特殊出生率)。日本の2023年の出生率1.20よりは高いが、人口維持に必要な2.07を大きく下回っているんだ。高齢化が進む中で、若者が海外に流出するとなると、社会保障を支える現役世代がどんどん細っていく。日本が直面している問題と構造的にそっくりだろう?
中国依存という共通リスク
日本も対中輸出は全体の約21%(2023年)を占めており、特に半導体製造装置・工作機械・食品・観光(コロナ前)などで中国への依存が高い。ニュージーランドが乳製品で依存したように、特定品目・特定国への集中は景気変動リスクを増幅させるんだよ。
おじさんのまとめ — 「逃げ場のある国」と「逃げ場のない国」
ニュージーランドの若者にはまだオーストラリアという「逃げ場」がある。言語も近く、文化も近く、ビザも不要で移住できる。この点は日本の若者とは事情が異なるんだよ。
日本の場合、海外移住には言語の壁・文化の壁があり、ニュージーランドのような「ほぼシームレスな移動の自由」は存在しない。だからこそ問題が可視化されにくく、じわじわと深刻化していく側面があるんだ。
ニュージーランドの若者流出問題は、経済の対外依存・住宅コストの高騰・少子化という三重苦が絡み合った結果さ。日本も同じ構造を抱えている以上、この小さな南半球の国の動向は、おじさんとしては目が離せないんだよ。
さて、今日のうんちくはここまでにしておこうか。次はきみの周りの若い人たちと、こんな話をしてみてくれよ。意外と「知らなかった」って反応が返ってくるはずさ。じゃあね!
うんちくおじさんの豆知識コーナー
ニュージーランドが「移民大国」と呼ばれるのには歴史的な背景があるんだ。1840年にイギリスとマオリ族の首長たちの間で結ばれた「ワイタンギ条約」によって、ニュージーランドはイギリスの植民地となったわけだが、その後1860〜70年代にかけてゴールドラッシュが起き、世界中から移民が押し寄せた。現在でも人口約500万人のうち、海外生まれの住民が約27%を占めている。これはOECD加盟国の中でも上位クラスの移民比率なんだよ。さらに面白いのは、ニュージーランド生まれの人間が海外(主にオーストラリア・イギリス・アメリカ)に住んでいる数も約100万人以上いるとされている点。つまりニュージーランドは「人が入ってきて、また出ていく」循環が非常に激しい国なんだ。