やあやあ、久しぶりだね。今日はちょっと文学界の熱い話をしようじゃないか。

2026年4月22日、小説家の柚木麻子さんが自身のインスタグラムで衝撃の発表をしたんだよ。代表作『BUTTER』の版権を、長年お世話になった新潮社から河出書房新社へ移すというんだ。これがね、ただの出版社の乗り換えじゃない。作家としての信念と、仲間への連帯を示す、かなり骨のある決断なんだよ。

柚木麻子って、どんな作家なんだ?

まあ、知らない人のために教えておこうか。柚木麻子さん、1981年8月2日生まれの東京都世田谷区出身。立教大学文学部フランス文学科を卒業後、製菓メーカーに就職、そのあと塾講師や契約社員をしながら小説を書き続けたんだ。

2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞し、2010年に初単行本『終点のあの子』でデビュー。それから着実にキャリアを積んで、2015年には『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞を受賞した。

そして2017年に発表した『BUTTER』が、とんでもないことになったんだよ。

『BUTTER』が世界を席巻している件

この『BUTTER』という小説、実在の事件をモデルにした作品で、食と欲望と女性の生き方を描いた長編小説なんだ。

なんと、世界36カ国以上で翻訳が決定している。これはすごい数字だぞ。日本の現代小説がこれだけの国で読まれるというのは、相当なことだ。

2024年にイギリスで刊行された英訳版(翻訳者はポリー・バートン)は、英国大手書店チェーン「Waterstones」が選ぶ「Book of the Year 2024」を受賞。さらに「The British Book Awards 2025」のDebut Fiction部門も受賞している。イギリスで「デビュー作」扱いになるのは英訳初出版だからで、それがいきなり年間ベストを取ったわけだ。

2026年には「The Bestseller Awards 2026 Gold Award」まで受賞している。もはや世界レベルの作家と言って間違いない。

おじさんの豆知識コーナー:「オール讀物新人賞」って何者?

ちょっと聞いてくれよ。柚木さんが受賞した「オール讀物新人賞」、知ってるかい?文藝春秋が発行する文芸誌「オール讀物」が主催する新人賞で、1954年に創設されたんだ。70年以上の歴史を持つ老舗の賞で、過去の受賞者には宮部みゆきさんや東野圭吾さんなど、後に直木賞作家になった面々がずらりと並んでいる。この賞を取った作家が後に大成するケースが多いことから、業界では登竜門中の登竜門として知られているんだよ。柚木さんが2008年に受賞した第88回というのも、いかに長い歴史のある賞かわかるだろう?

今回の版権移動、何が起きたのか

さて、本題に入ろうか。

柚木さんが今回『BUTTER』の版権を新潮社から河出書房新社に移すと決断した背景には、作家仲間の深沢潮さんをめぐる問題がある。

新潮社が発行する『週刊新潮』に、深沢潮さんに「著しい苦痛を与える記事」が掲載されたんだ。深沢さんは新潮社からデビューした作家で、その「デビュー元」の出版社の雑誌に、そういった記事が載ってしまった。

柚木さんはインスタグラムで「その後の状況や、彼女にかかった負担、そして孤立について見聞きし、出版というシステムの在り方を深く考え直す契機の一つとなりました」と書いている。

作家として何ができるか、長期間にわたって検討を重ねた結果、「新潮社における複数の版権のうち、一作を他社へ移動するという選択」をしたというわけだ。

版権移動は「最大限の意思表示」

柚木さんは声明の中でこう書いている。

「これは現時点での、私なりの最大限の意思表示です」

また、海外でのオーサーズツアー(著者プロモーション旅行)の経験についても触れていて、「差別や排除に対しどう立ち向かうべきか、自身の立場を厳しく問われる機会がありました」と述べている。世界各国の出版関係者との対話を経て、この決断に至ったことが伝わってくるよ。

出版界の「版権」ってそもそも何だ?

ここでおじさんが少し解説しておこうか。

小説の「版権」というのは、作品を出版・販売する権利のことだ。通常、作家と出版社は出版契約を結び、その出版社が書籍を刊行する権利を持つ。版権を移すということは、この契約を解除して別の出版社と新たに契約し直すことを意味する。

今回は「双方の会社と協議を重ね、円満な合意の上での移動」とのことで、新潮社も最終的には合意している。ただし「多大な調整が必要」だったと柚木さんは書いており、海外の版元や書店員にも影響が及ぶ、相当な決断だったことがわかる。

新潮社には「長年にわたりお世話になり、作家として育てていただいた」と感謝しつつも、信念を貫いたんだ。これが作家というものの生き方というやつだよ。

まとめ:文学は社会と切り離せない

おじさんに言わせれば、今回の柚木さんの行動は「一人の作家が出版システムに対して取れる最大限のアクション」だと思うよ。

『BUTTER』は世界36カ国以上で読まれている作品だ。その版権を動かすことは、国内外の多くの関係者に影響を与える。それでもあえて動いた。それが「差別や排除に対してどう立ち向かうか」という問いへの、柚木さんなりの答えだったわけだ。

柚木さんは最後にこう書いている。「出版の世界が、読者や作り手が安心して表現に向き合い、多様な文化や価値観を受け止められる場所であることを切に願っております」と。

これは出版界だけの話じゃないよ。どんな業界でも、どんなコミュニティでも、「安心して表現できる場所」って本当に大事なものだからね。

柚木麻子さんの『BUTTER』、まだ読んでいない人はぜひ手に取ってみてくれよ。世界が認めた作品が、今まさに歴史の転換点を迎えているんだから。これは後から「あのとき読んでおいた」と言えるような話だと、おじさんは思うよ。