やあやあ、久しぶりだね。今日はちょっと重めの話題を持ってきたよ。鈴木涼美さんという名前、聞いたことあるかい?

作家・鈴木涼美さんが、売春規制をめぐる議論の場でこう語ったんだ。「『セクシー女優になって後悔したか』と聞かれるが、日によって違う」ってね。この一言、ずっしりと重いよ。

鈴木涼美とはどんな人物か

まあ、聞いてくれよ。鈴木涼美さんは1983年生まれ、東京大学大学院学際情報学府を修了したという異色の経歴を持つ作家だ。在学中にAV女優・ホステスとして働き、その経験を社会学的に考察した著書『AV女優の社会学』(2013年、青土社)で一躍注目を浴びた。

さらに2022年には、小説『ギフテッド』で第34回三島由紀夫賞を受賞。三島由紀夫賞は1987年に創設され、毎年1作品に贈られる権威ある文学賞だ。芥川賞・直木賞に次ぐと言われる新人作家の登竜門で、過去には辻仁成(1989年)、川上弘美(1996年)なども受賞している。東大卒・AV女優経験・文学賞受賞という組み合わせは、日本の文壇でも前例がほとんどない。

今なぜ「売春規制」が議論されているのか

日本では現在、1956年に制定された「売春防止法」の見直し論議が始まっている。同法は売春を「した側(売春者)」への罰則を定めているが、「買った側」への直接的な刑事罰がないという非対称な構造が長年指摘されてきた。

韓国モデルが注目される理由

一方、おじさんが注目したのは韓国の事例だ。韓国は2004年に「性売買特別法」を施行し、買う側にも罰則(1年以下の懲役または300万ウォン以下の罰金)を課す仕組みを導入した。韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)など市民団体が長年訴えてきた「性売買は人権侵害」という主張が法制度に反映された形だ。

同様のアプローチは1999年にスウェーデンが世界で初めて導入し、「ノルディックモデル」と呼ばれる。売春者は犯罪者扱いせず、買う側のみを処罰するこのモデルは、2009年にノルウェー・アイスランド、2016年にフランスと、欧州各国に広がっている。フランスでは買う側への罰金は初犯で1500ユーロ(約24万円)、再犯で3750ユーロ(約60万円)だ。

おじさんの豆知識コーナー:「売春防止法」制定の背景

日本の売春防止法が1956年に施行されたのは、第二次世界大戦後のGHQ占領期と深く関係しているんだよ。

1945年の終戦直後、日本政府は連合国軍兵士向けに「特殊慰安施設協会(RAA)」を設立し、公認の性的サービスを提供した。しかし1946年、GHQが公娼制度廃止を指令。これ以降、いわゆる「赤線」「青線」と呼ばれる非公認の地帯が全国に広がったんだ。1958年にこれら赤線・青線が閉鎖されるのと前後して、1956年に売春防止法が成立した。

制定から2026年現在まで約70年。スマートフォンやSNSの普及でいわゆる「パパ活」「援助交際」という形態が広まった現代社会に、昭和の法律がどこまで対応できるのか、これは本当に真剣に考えるべき問題だよ。

鈴木涼美の発言が持つ重み

さて、冒頭の鈴木さんの言葉に戻ろう。「日によって違う」という答え——これを聞いたとき、おじさんは正直ハッとしたよ。

よく「後悔しているか・していないか」という二択で語られがちな問いに対して、「日によって違う」というのは最も誠実な答えじゃないかと思う。人間の感情は二値化できないし、過去の選択への評価だって、その日の体調・気分・置かれた状況によって揺れるものだろう?

鈴木さんは著書の中で、性産業を「経済的選択」として捉える視点と「社会的構造による強制」として捉える視点、その両方が同時に存在しうると論じてきた。東大大学院で社会情報学を専攻した研究者としての視点と、当事者としての経験、その両方を持つ人物だからこそ、あの一言に深みがある。

日本の性産業をめぐる現状

警察庁の統計によれば、2023年の売春防止法違反検挙件数は全国で2,847件(検挙人員2,904人)。一方で、いわゆる「性風俗特殊営業」として届け出のある店舗数は全国で約20,000店舗前後とされており、グレーゾーンの広大さが浮かび上がる。

厚生労働省が2022年に行った調査では、困窮状態にある女性の中に「性的サービスを対価として金銭を得た経験がある」と答えた人が一定数含まれており、貧困問題との切り離せない関係が明らかになっている。

まとめ:簡単に答えが出ない問いだからこそ

おじさんに言わせれば、この議論で一番大切なのは「当事者の声」を中心に置くことだと思うよ。

鈴木涼美さんのように、経験者が知性と言葉をもって発信できる環境——これが社会にとってすごく大事だ。彼女の「日によって違う」という答えは、単純な賛否論ではなく、生きた人間の複雑さを正直に示している。

売春規制の議論は、罰則の有無という法技術的な問題にとどまらない。どんな社会を作りたいか、誰の人権を守るのか、という根本的な問いに直結している。

君はどう思うかい? 簡単には答えが出ない問いだけど、だからこそ一人ひとりが考え続けることが大事なんだ。おじさんも引き続き考えていくよ。