やあやあ、久しぶりに会ったね。今日はちょっと深刻な話をしなきゃいけないんだが、まあ最後まで聞いてくれよ。

最近ニュースで「人手不足倒産」って言葉をよく見かけるだろう?おじさんの周りでも、行きつけの定食屋が閉まったり、近所の建設会社が廃業したりと、じわじわとその波を感じているんだ。これ、決して他人事じゃないんだよ。

数字で見る「人手不足倒産」の実態

まずは事実をしっかり確認しておこう。帝国データバンクの調査によれば、2024年の「人手不足倒産」件数は全国で約260件に達した。これは前年比で約30%増という驚くべき数字だ。

さらに視野を広げてみると、倒産件数全体も深刻な状況が続いている。中国地方(広島・岡山・鳥取・島根・山口の5県)では、4年連続で倒産件数が増加しており、2025年度も原油高の影響で厳しい見通しが朝日新聞によって報じられた。毎日新聞の報道では、中東情勢による景気後退懸念も重なり、中国地方で3年連続400件超の倒産が起きていることが明らかになっている。

石川県では2025年度の企業倒産が85件に達し、こちらも3年連続増加。特に「建設業」と「飲食業」の倒産が相次いでいる。負債総額は143億7200万円にのぼり、能登半島地震(2024年1月1日発生)の影響が依然として企業経営を圧迫している現状がTBS NEWS DIGによって報告されている。

なぜ「人手がいない」だけで倒産するのか

ここでおじさんが解説してやろう。「人手が足りないなら採用すればいいじゃないか」と思うだろう?それが、そう簡単じゃないんだ。

理由その1:採用コストの急騰

2023年から2024年にかけて、求人広告費は軒並み上昇した。主要求人サイトの掲載料は最大で年間100万円以上かかるケースもある。中小企業にとって、採用にそれだけのコストをかけても人が来ないとなれば、経営を続けること自体が難しくなる。

理由その2:賃金上昇に耐えられない構造

2024年の春闘では大手企業を中心に平均5.1%の賃上げが実現した。しかし中小企業はどうか。下請け構造の中で価格転嫁もままならない企業が多く、同じ水準の賃上げをすれば即座に赤字転落となるケースが続出している。

理由その3:代替手段がない業種

建設・介護・飲食・運輸といった業種は、機械やAIでの代替が難しい「人力依存型」の仕事が多い。特に建設業は2024年問題(時間外労働の上限規制適用)によって、一人当たりの労働時間が制限され、同じ仕事量をこなすためにはより多くの人員が必要となった。しかし人員は増やせない——という詰み状態に追い込まれているんだよ。

おじさんのうんちくコーナー:「倒産」の語源、知ってたかい?

「倒産」という言葉、もともとは「産(なりわい)が倒れる」という意味で、明治時代に使われ始めた言葉なんだ。英語の「bankruptcy(バンクラプシー)」はラテン語の「banca rotta(壊れた机)」が語源でね、中世ヨーロッパでは両替商が商売を失敗すると、その取引台(バンカ)を文字通り壊して廃業を宣言したんだ。

それと、日本で初めて本格的な破産法が施行されたのは1922年(大正11年)のこと。その後、2004年に現在の「破産法」として全面改正されたんだよ。法律一つにも百年以上の歴史があるわけだ。

もう一つ面白いことを言うとね。日本で倒産件数がピークだった年2000年の約19,000件なんだ。バブル崩壊後の長期不況、金融機関の不良債権処理が重なったあの時代と比べれば、今の年間9,000件前後という数字はまだ半分以下ではある。でも油断は禁物——人手不足倒産は「不景気だから倒れる」のではなく「仕事はあるのに人がいなくて倒れる」という新しい形の倒産なんだよ。これは歴史的に見ても比較的新しい現象なんだ。

業種別・地域別の深刻な状況

おじさんに言わせれば、この問題は業種と地域によって「顔」が全然違う。

建設業では、能登半島地震の復興需要が皮肉にも人手不足を加速させている。石川県内の建設会社は復興工事の受注機会があっても、施工する職人が集まらず、受注を断らざるを得ないケースが相次いでいる。

飲食業では、コロナ禍(2020〜2022年)で一度離れた人材が戻ってこない。2019年比で飲食業の就業者数は約15万人減少したままだ(厚生労働省調べ)。

介護業に至っては、2025年問題(団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる年)を前に、全国で約32万人の介護人材が不足するという推計が厚生労働省から出されている。

おじさんが思う、これからの話

まあ聞いてくれよ。暗い話ばかりしてもしょうがないから、少し前向きなことも言っておこう。

政府は「特定技能」制度の対象業種を拡大し、外国人労働者の受け入れを積極化している。2023年末時点での特定技能外国人は約20万8,000人で、前年比約40%増という急増ぶりだ。

また、DXによる省人化も少しずつ進んでいる。建設業では測量ドローンの活用で従来の1/5の人員での測量が可能になったり、飲食業では配膳ロボットの導入が進んでいたりする。

ただしこれらは「緩和策」であって、根本解決ではない。おじさんとしては、働く人が長く働き続けられる賃金・環境・社会制度を整えることが、この問題への本筋の答えだと思っているんだよ。

まとめ

人手不足倒産は「経営者の努力不足」でも「若者の根性不足」でもなく、日本社会全体の構造問題なんだ。少子化・高齢化・低賃金構造・価格転嫁できないビジネス慣行——これらが重なった必然的な結果とも言える。

君たちにできることは何か?消費者として、適正な価格でサービスを受け取ること。労働者として、自分の価値を正当に主張すること。そして有権者として、この問題に向き合う政策を選ぶこと。

おじさんが若い頃には「仕事は選ぶな」なんて言葉もあったが、今の時代はそれじゃ立ち行かない。仕事を選べる時代だからこそ、雇う側も選ばれる努力をしなきゃいけない——そういう時代に僕らは生きているんだよ。

さあ、今日のうんちくはここまでだ。また面白い話を仕入れておくから、次回も付き合ってくれよな!