やあやあ、今日も元気かい?

まあ、聞いてくれよ。最近ちょっと気になるニュースが入ってきてね。中国の新疆・甘粛で口蹄疫が発生して、なんと219頭もの牛が感染したというんだ。「口蹄疫か、聞いたことあるけどよく知らないな」って思った人、今日はおじさんがしっかり教えてあげよう。この病気、知れば知るほど恐ろしいし、実は日本とも切っても切れない因縁があるんだよ。

口蹄疫とはいったい何者なのか

口蹄疫(こうていえき)は、偶蹄類の動物——つまり牛・豚・羊・山羊・鹿なんかに感染するウイルス性の急性伝染病だ。原因はFMDV(口蹄疫ウイルス)と呼ばれるピコルナウイルス科の一員で、なんと7種類の血清型(O型・A型・C型・SAT1・SAT2・SAT3・Asia1)が存在する。これが後述する「ワクチンの難しさ」につながるんだが、まあそれは後でじっくり話そう。

感染した動物は口の中や蹄(ひづめ)の周り、乳房などに水疱(水ぶくれ)ができて、高熱を出し、よだれをダラダラ流す。致死率自体は成獣で5〜10%程度と低いんだが、問題はその感染力の凄まじさにある。感染動物1頭が1日に排出するウイルス量は数百億個にも及ぶと言われていて、空気感染もするから、風に乗って数十キロ先まで届いてしまうんだ。

今回のニュースで発生が報告された中国の新疆ウイグル自治区と甘粛省は、中央アジアと接する広大な牧畜地帯。219頭という数字だけ聞くと「思ったより少ない」と感じるかもしれないが、これはあくまで「発病が確認された頭数」であって、潜伏期間中の感染牛まで含めたら話は全然違ってくるよ。

おじさんが語る口蹄疫の歴史的大惨事

2001年イギリスの悪夢——680万頭が殺処分

口蹄疫の恐ろしさを世界に知らしめた事件と言えば、2001年にイギリスで起きた大流行だ。この年の2月、ノース・イングランドの豚農家から始まった感染はあっという間に全国へ拡大。最終的に6,836,000頭以上の家畜が殺処分され、被害総額は80億ポンド(当時のレートで約1兆6,000億円)にのぼった。

イギリス政府は感染拡大を防ぐため、感染農家から半径3キロ以内の家畜をすべて処分するという「予防的殺処分」を断行。連日テレビに映し出される山積みの牛の死体と、それを焼く黒煙は、世界中の視聴者に強烈な印象を与えた。農村地帯では観光も農業もストップし、社会的ダメージは計り知れなかったんだよ。

日本だって他人事じゃない——2010年宮崎の教訓

おじさんに言わせれば、日本人がもっと真剣に口蹄疫を考えるべき出来事があった。2010年4月から7月にかけて宮崎県で発生した口蹄疫だ。

最初に感染が確認されたのは都農町の農家。そこからわずか数ヶ月で感染は宮崎県全域に広がり、最終的に292,000頭以上の牛・豚が殺処分された。日本での口蹄疫発生は実に92年ぶりのことで、農林水産省は非常事態宣言を発令。被害総額は約2,350億円に達し、畜産王国・宮崎の産業基盤を根底から揺るがした。

特に大きかったのは種牛への影響だ。宮崎が誇る最高級ブランド「宮崎牛」を支える優良種雄牛6頭が感染の危機に晒され、種牛の保護か殺処分の原則を守るかで政府と県が対立する場面もあった。この問題は、単なる農業被害を超えて、日本の食文化と行政の対応力を問う社会問題にまで発展したんだ。

おじさんの豆知識コーナー

口蹄疫ウイルスは「冷凍肉」の中でも生き続ける!

ちょっと聞いてくれよ、これが一番びっくりする話なんだが——口蹄疫ウイルスは冷凍状態でも死なないんだ。研究によると、冷凍保存された骨付き肉の中で最長で数年間生存し続けることが確認されている。pH(酸性・アルカリ性の度合い)が6.0以下になると急速に不活化されるんだが、骨髄や血液はpH7前後で中性に保たれるため、ウイルスが生き延びやすい環境になっているんだ。

これが輸入食肉が感染経路になり得る理由でもあって、2010年の宮崎の事例でも「輸入された感染肉が原因では」という説が当初取り沙汰された。世界の検疫が厳しくなったのは、こういう科学的根拠があってのことなんだよ。

それともう一つ。口蹄疫は人間には感染しない(ほぼ)。だから感染した牛の肉を食べても人体への影響はないんだが、世界貿易の観点では「口蹄疫清浄国」かどうかが輸出入の可否を左右する重大な指標になっている。つまり経済的ダメージが巨大になる理由は「人への健康被害」じゃなくて「貿易上の地位の喪失」にあるんだね。

ワクチンがあるのになぜ根絶できないのか

ここが口蹄疫の厄介なところでね——ワクチンは存在するんだ。でも7種類もある血清型に対して、型ごとに別のワクチンが必要になる。しかも感染した動物とワクチン接種した動物を血清検査で区別しにくくなるため、「口蹄疫清浄国」の認定を受けるためには原則としてワクチンを使えないという矛盾した状況があるんだよ。

世界動物保健機関(WOAH、旧OIE)は清浄国の基準として「ワクチン不使用かつ感染なし」を定めており、ワクチンを使用すると「ワクチン接種清浄国」という別格扱いになる。日本は現在「ワクチン不使用清浄国」の地位を維持しており、これが牛肉・豚肉輸出の際の大きな強みになっているんだ。

中国での発生が示すリスク

今回の新疆・甘粛での発生は、アジア全域の畜産業界にとって無視できないシグナルだ。新疆ウイグル自治区は中国最大の牧畜地帯の一つで、牛だけでも数百万頭規模の飼育数を誇る。そこで219頭の発症が確認されたということは、封じ込めが間に合わなければ被害が急拡大するリスクをはらんでいる。

日本の農林水産省は口蹄疫の海外発生情報を常時モニタリングしており、発生国からの家畜・畜産物の輸入停止措置を迅速に行う体制を整えている。2010年の宮崎の教訓から生まれた「家畜伝染病予防法」の改正(2011年施行)により、初動対応のスピードと規模も大幅に強化されたんだよ。

まとめ——知識が家畜を、そして食卓を守る

どうだい、口蹄疫って聞くと漠然と「怖い病気」というイメージがあったと思うけど、こうして具体的な数字や歴史を見ていくと、その恐ろしさの「理由」がはっきり見えてくるだろう?

680万頭を失ったイギリス、29万頭を失った宮崎、そして今また中国で始まった219頭の感染——これらは全部つながった話なんだ。グローバルに食料が行き来する今の時代、遠い国での家畜感染は明日の日本の食卓に直結しうる。

「知ってるようで知らなかった」ことを知ることが、社会への理解を深める第一歩さ。おじさんはそれをずっと伝え続けたいんだよ。また気になるニュースがあったら、いつでも聞いてくれよ!