やあやあ、今日はKADOKAWAで大きな動きがあるから、おじさんが語ってあげようじゃないか。「夏野剛」という名前、聞いたことあるかい?日本のメディア・テクノロジー業界では知る人ぞ知る人物なんだが、2025年の株主総会シーズンを前に、その去就がにわかに注目を集めているんだよ。
iモードを作った男の輝かしい経歴
まず夏野剛氏のことを知らない人のために、おじさんが説明しよう。早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京ガスに入社。その後、米ペンシルバニア大学ウォートンスクールでMBAを取得した、なかなかエリートな経歴の持ち主だ。
ウォートンスクールというのは米ペンシルバニア大学のビジネススクールで、世界トップクラスのMBAプログラムを持つ1881年創立の名門校だよ。ドナルド・トランプ元大統領も同校の卒業生として知られているね。
その後、ベンチャー企業の副社長を経てNTTドコモへ転じた夏野氏が手がけたのが、1999年2月にサービスを開始した「iモード」だ。iモードはスマートフォン以前の時代に、携帯電話でインターネットを利用できるようにした革命的サービスで、ピーク時には4,900万人以上の利用者を抱えた。世界に先駆けたモバイルインターネットの普及で、当時の日本は世界から羨ましがられる存在だったんだよ。
「おサイフケータイ」の立ち上げにも携わり、ドコモの執行役員まで務めた夏野氏は現在、株式会社KADOKAWA代表取締役社長CEO・株式会社ドワンゴ代表取締役社長を兼任しながら、慶應義塾大学政策・メディア研究科の特別招聘教授も務めている。他にもトランスコスモス、グリー、USEN-NEXT HOLDINGSなどの社外取締役も兼任する超多忙な人物だ。
物言う株主「オアシス」が解任要求を突きつけた
さて、本題に入ろうか。2025年5月、香港を拠点とするアクティビスト投資家(物言う株主)の「オアシス・マネジメント」が、KADOKAWAの株主総会に向けて夏野剛CEOの解任・社長再任議案への反対を呼びかけているんだ。
オアシスが指摘する主な問題点はこうだ:
- 就任5年で業績が悪化した経営責任
- 「ELDEN RING」への姿勢に疑問:フロム・ソフトウェアが開発したELDEN RINGは2022年2月の発売からわずか3ヶ月で1,200万本を突破し、2024年時点で世界累計2,100万本以上を売り上げた大ヒット作だ。KADOKAWAはフロム・ソフトウェアの親会社なのに、このIPをもっと戦略的に活かすべきだという批判がある
- ニコニコ動画へのサイバー攻撃対応の問題
2024年のKADOKAWAには大きな不祥事が2件あった。1件目は2024年6月に発覚したランサムウェアによる大規模サイバー攻撃だ。ロシア系のハッカー集団によるとされる攻撃を受け、子会社ドワンゴが運営するニコニコ動画などのサービスが2ヶ月以上停止する深刻な事態になり、多額の身代金を要求されたとも報道された。
2件目は2024年11月、公正取引委員会から下請法違反(買いたたき)で勧告を受けた件だ。下請け業者に対して原稿料や撮影料を一方的に数十パーセント引き下げる通告をしており、引き下げ率が数十%に達したケースも複数あったというから、これはかなり問題のある行為だよ。
角川歴彦元会長まで「質問状」を送っていた
さらにことを複雑にしているのが、2025年4月にKADOKAWAの創業家出身・角川歴彦元会長が夏野社長ら経営幹部に「質問状」を送ったことが、文藝春秋の取材で明らかになったことだ。
角川元会長は現在もKADOKAWA株を約1%保有する株主として、以下の点を問い質している:
- ハッカー集団への身代金支払いの有無
- 情報セキュリティ体制における問題点
- 下請法違反の具体的な再発防止策
ひと月以上待って4月23日にようやく夏野社長から回答が届いたが、角川元会長によれば内容は「お粗末なもの」だったという。
ちなみに角川元会長自身は、2022年に東京五輪スポンサー選定をめぐる収賄の疑いで起訴(無罪を主張して係争中)となり、会長職を辞任した経緯がある。そんな人物からの質問状というのも、なかなか複雑な話だよね。企業の内部というのは一筋縄ではいかないもんだよ。
おじさんの見立て:コンテンツの宝を活かせているか
KADOKAWAは2024年度の売上高が約2,700億円規模の大企業だ。「進撃の巨人」「Re:ゼロ」「転生したらスライムだった件」などのアニメ・マンガIPを多数抱え、フロム・ソフトウェア(ELDEN RINGの開発元)も子会社に持つ、日本コンテンツ産業を代表する企業だよ。
それだけの宝を持ちながら、ガバナンス問題でここまで批判を受けているのは、正直もったいない話だよね。iモード時代に日本のモバイル革命を牽引した人物が、今度は巨大コンテンツ企業の舵取りで試されているというのが、今の夏野剛という人物の姿だよ。
まあ聞いてくれよ——物言う株主の動きが日本の大企業経営を変えていくのか、それともはじき返されるのか、2025年の株主総会の結果がひとつの答えを出してくれるはずだ。みんなも自分が投資している会社の株主総会通知、ちゃんと読んでみてくれよ。意外なところで大人の世界が動いているもんだよ。
おじさんの豆知識:「アクティビスト投資家」って何者?
おじさんに言わせれば、「物言う株主」(アクティビスト投資家)という存在、日本では1990年代まではほとんど見られなかったんだよ。アメリカでは1980年代にカール・アイカーンやT・ブーン・ピケンズが先駆者となり、企業経営に積極的に干渉する投資手法が確立された。日本でも2000年代前半に村上世彰率いる「村上ファンド」がソニーや阪神電鉄などに仕掛けて一世を風靡したね。
オアシス・マネジメントは香港を本拠地とするアクティビスト投資家で、過去にも日本の大手企業に対して積極的な株主提案を行ってきた実績がある。アクティビストは単なる批判だけでなく、具体的な改善提案をセットで出してくることが多い。株主として正式な提案権を持つ以上、経営陣も完全には無視できないのが「コーポレートガバナンス(企業統治)」の面白いところなんだよ。