やあやあ、久しぶりじゃないか!今日はおじさんが、ASIAN KUNG-FU GENERATION(通称アジカン)のボーカル・ゴッチこと後藤正文の、ちょっと熱い話をしてあげよう。

静岡の古い土蔵が本格スタジオに変身!

まあ、聞いてくれよ。後藤正文さんといえば、1999年に神奈川県で結成されたアジカンのボーカル・ギタリストとして知られている。「リライト」「君という花」「ソラニン」など、2000年代の日本のロックシーンを代表する楽曲を生み出してきた人物だよ。

そんな後藤さんが最近やってることが、なかなかどうして面白い。静岡県藤枝市にある土蔵を丸ごとリノベーションして、滞在型音楽制作スタジオ「MUSIC inn Fujieda」を設立したんだ。2026年3月についにグランドオープンを迎えた、注目のプロジェクトさ。

「東京と同じスタジオを作っても意味がない」

後藤さんがこのスタジオにこだわった理由、聞いてみると実に明快なんだよ。普通に考えたら、古い蔵を潰して新しいスタジオを建てたほうが面積も広いし、機能も充実するし、費用も安く済む。でも後藤さんはあえてそれをしなかった。

「静岡の知らない街に東京と同じスタジオを作りました、だと、『だったら東京で借ります』ってなると思う」——この言葉に、後藤さんの哲学が凝縮されているね。

そもそも藤枝の土蔵を選んだのには、もうひとつ明確な理由があった。お茶どころ静岡の倉庫というのは天井がとにかく高いんだよ。都内のスタジオでは天井の高さにはどうしても限界があるけど、この土蔵を使えば「そこじゃないと録れない」ユニークな音響環境が作れる。後藤さんがずっと「天井の高いところでドラムを録りたい」と思っていたことが、藤枝という場所を選んだ決め手になったというわけさ。

さらに面白いのは、建材へのこだわりだ。内装には能登や熊本の被災地からレスキューされた古材が使われている。音楽だけじゃなく、環境や被災地支援まで視野に入れたスタジオなんだよ。

おじさんの豆知識コーナー

スタジオの防音・音響工事って、実はとんでもなく大変なんだよ。MUSIC inn Fujiedaでは、なんと土蔵全体をジャッキアップするところから工事が始まった。床を二重にして、その間にゴムを挟み、さらにその上に木を打つという工法で振動を徹底的に遮断している。

録音の世界では「フローティング構造」と呼ばれるこの技術——スタジオを文字通り地面から浮かせることで、外の交通振動や低周波が録音に混入するのを防ぐんだ。東京の大型スタジオでも採用されている技術だけど、築100年以上の土蔵にそれを適用するとは……おじさんに言わせれば、なかなかの男気というものだよ!

2018年から続く「APPLE VINEGAR」の思想

このスタジオ設立の根っこには、後藤さんが2018年に設立した日本の音楽賞「APPLE VINEGAR – Music Award -」の理念がある。若いミュージシャンたちに機材や金銭面での支援を届けたい、という目的で始まった賞で、NPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」として組織化されている。

一般的な音楽賞って、広告主導になったり権威的になったりして、お金やヒエラルキーに引っ張られがちだよな。後藤さんが目指したのは、そうじゃなくて「現場で工夫しながら面白いものを作っている人たち」や「宣伝に大きく投資できない中堅アーティストが作ったブレイクスルー的な楽曲」にスポットを当てること。

「ちゃんと聴いていますよ」というエールを若い作り手たちに送る場——MUSIC inn Fujiedaはその延長線上にある、という話さ。

腕利きエンジニア・古賀健一との出会い

ちょっと聞いてくれよ。このプロジェクトに欠かせない人物がもうひとりいる。サウンドエンジニアの古賀健一さんだ。

古賀さんは都内に自身のスタジオ「Xylomania Studio」を構え、2020年にはDolby Atmos規格の立体音響に対応したスタジオにリニューアルするなど最先端の技術にも精通した辣腕エンジニアだよ。アジカン、チャットモンチーをはじめ多くのアーティストの作品を手がけてきた人物で、後藤さんとは青葉台スタジオ時代からの付き合いだという。

出会いのきっかけは、古賀さんがチャットモンチーのレコーディングアシスタントをしていたとき。そこに後藤さんがプロデューサーとして参加したことで「はじめまして」になったんだって。その後、2013年9月リリースのthe chef cooks meのアルバム「回転体」で古賀さんをエンジニアに抜擢したのが後藤さんで、2015年5月リリースのアジカンのアルバム「Wonder Future」のプリプロで本格的にタッグを組んだ。

「ゴッチさんがいなかったら今の僕のキャリアはない」と古賀さんが語るほどの関係性で、MUSIC inn Fujiedaの音響設計にも深く関わっている。

「ドキュメント72時間」が映す音楽の現場

NHKの人気番組「ドキュメント72時間」が渋谷の巨大CD・レコード店に密着した回を含む音楽関連回を一挙再放送するという話もある。CDが売れない時代と言われて久しいけど、実際にはレコードショップに足を運ぶ人は根強く存在するわけさ。

DAW(デジタル音楽制作ソフト)の進化で自宅でも音楽が作れる時代に、わざわざ静岡県藤枝市まで行ってスタジオに泊まり込む意味——それはSpotifyでストリーミングするだけでは得られない「場の体験」を求める心理と、根っこでつながっていると思うんだよね。

まとめ

後藤正文さんの「MUSIC inn Fujieda」プロジェクト、どうだったかな。アジカンのボーカリストとして音楽を作る側にいながら、次の世代が音楽を作れる環境を整えようとしている姿勢——おじさんは素直にかっこいいと思うよ。

2018年のAPPLE VINEGAR設立から始まり、2026年3月の藤枝スタジオグランドオープンへ。「そこじゃないと録れない場所」を目指した土蔵スタジオ、音楽好きなら一度訪れてみたいものだよね。

音楽を聴くだけじゃなくて、どう作られているかを少し考えてみると、また新しい楽しみ方が見えてくるかもしれないよ。まあ、おじさんはそういうことを考えながらレコードをひっくり返してる人間なんだけどな(笑)。次もまた付き合ってくれよ!