やあやあ、今日も元気にうんちくおじさんが来たよ。今日はちょっと重たい話になるんだけど、まあ聞いてくれよ。
2026年5月20日の朝8時半ごろ、広島県廿日市市宮島町の弥山山頂付近から「霊火堂の建物が燃えている」という119番通報が入ったんだ。消防車3台とヘリコプターが出動して消火活動にあたったんだが、建物は全焼。さらに周辺の林野にまで延焼するという大規模な火事になってしまったよ。幸いにもけが人の情報はなかったということだけど、これは本当に大変なことだよ。
そしてね、これが何とも皮肉な話でさ。「消えずの火」で有名な霊火堂が——1200年以上も消えることなく燃え続けてきた「不滅の炎」を祀るお堂が——火事で建物ごと燃えてしまったんだから。
霊火堂(れいかどう)ってどんな場所?
広島・宮島といえば、世界遺産の厳島神社が有名だろう?でも宮島にはもうひとつ、外せない聖地がある。それが弥山(みせん、標高535メートル)の山頂付近にある霊火堂なんだよ。
霊火堂は、厳島神社の別当寺として知られる大聖院(だいしょういん)の堂宇のひとつで、弥山本堂の向かいに位置している。ご本尊は不動明王(ふどうみょうおう)。創建は平安時代初期——弘法大師空海が弥山で修行をしたとされる806年(大同元年)ごろまで遡るとされているんだ。
場所的には宮島ロープウェイの獅子岩駅から徒歩18分ほど。標高535メートルの山頂近くに位置しているだけに、参拝にはそれなりの体力も必要なんだが、それでも毎年多くの参拝者が訪れる人気スポットだった。参拝可能時間は毎日8時から17時まで。
1200年以上燃え続ける「消えずの火」
霊火堂の最大の見どころは、なんといっても「消えずの火」だよ。
弘法大師空海が弥山で護摩修行を行った際に灯した火が、その後1200年以上にわたって燃え続けているというんだ。囲炉裏の中で静かに燃えるこの火には大きな茶釜が掛けられていて、その火で沸かされたお湯は「霊水」と呼ばれ、万病に効果があるとされている。実際に参拝者がこの霊水を飲むことができ、弥山登山の楽しみのひとつになっていたんだよ。
しかも「消えずの火」は「弥山七不思議」のひとつにも数えられている。弥山には他にも「錫杖の梅」「閼伽井の霊水」など七つの不思議があるんだが、「消えずの火」はその筆頭格といっていいだろう。
なお、現在の建物は平成18年(2006年)に再建されたものだった。扁額には「霊火不滅」の文字が刻まれていて、火の紋章が建物のあちこちに施されていたというんだよ。
おじさんの豆知識コーナー
なぜ1200年も消えずにいられたのか
ちょっと聞いてくれよ、1200年間「消えない」というのは、決して自然に起きることじゃないんだ。
大聖院の僧侶たちが代々、この火を守り続けてきた。薪をくべ、囲炉裏の火を絶やさず——それが1200年以上にわたって連綿と続けられてきた。建物自体は過去にも幾度か建て替えられており(直近では2006年に再建)、「1200年燃え続けている」とは建物ではなく火そのものを指している点も興味深いよ。
人の手によって守られ続けた火だからこそ、「消えずの火」という言葉には人間の意志と信仰の積み重ねが込められているんだ。お堂の扁額に「霊火不滅」と刻まれていたのは、単なる装飾じゃない——1200年にわたって火を守り続けてきた人々の誓いそのものだよ。
宮島・弥山という場所の特別さ
宮島(正式には厳島)は、「神の島」として古くから信仰を集めてきた特別な場所だよ。島全体が御神体とされており、その最高峰である弥山は「神の山」ともいわれている。
宮島はコロナ前の統計で年間約400万人が訪れる世界的な観光地だが、弥山の山中は今なおその神聖な雰囲気が色濃く残っている。霊火堂はまさにその象徴的な存在だったんだよ。
霊火堂の今後——火は絶やさない
今回の火事で建物は全焼してしまったが、「消えずの火」そのものがどうなったかは、現時点ではまだ確認が続いている段階だ。
ただ、過去にも建物は幾度か建て替えられてきた歴史がある。現在の建物も平成18年(2006年)の再建だったように、1200年の歴史の中で建物の建て替えは珍しいことではない。それでも火は守り継がれてきた。大聖院の僧侶たちが、その信仰の火を絶やすはずがない——おじさんはそう信じているよ。
まとめ
まあ、こういう話をするとき、おじさんはいつも思うんだよ。
1200年以上燃え続けてきた火。広島の平和の灯の種火にもなった火。その火を祀る霊火堂が、皮肉にも「火事」で建物ごと燃えてしまった。これ以上のアイロニーはなかなかないよね。
でも建物が燃えても、火そのものと、火を守り続けた人々の意志は消えない。弘法大師空海が806年ごろに灯した護摩の火は、きっとこれからも形を変えながら燃え続けるだろう。霊火堂が新たに再建され、また「消えずの火」が静かに燃える日を、おじさんは楽しみに待っているよ。そのときには宮島の弥山を自分の足で登って、霊水のお湯を一杯飲んでみようじゃないか。
「消えずの火」と広島・平和の灯の深い繋がり
おじさんに言わせれば、これが今回の火事を特別に重くする一番大事なポイントだよ。
広島市内の平和記念公園には「平和の灯(ともしび)」という炎がある。1964年8月1日に灯されて以来、「核兵器が地球上から全廃される日まで消さない」という誓いを込めて、60年以上にわたって燃え続けている炎だ。
そして、この「平和の灯」の種火——最初の火——は、霊火堂の「消えずの火」から採られているんだよ!
1200年前に空海が灯した護摩の火が、核廃絶を願う平和の灯として受け継がれている。宮島の弥山と広島市内の平和記念公園がこんな形で繋がっていたとは、知らなかった人も多いんじゃないかな?その種火の元となったお堂が今回の火事で全焼した——広島の人々にとっては特別な痛みを伴うニュースだったに違いない。