やあやあ、最近ニュースで「実質賃金3ヶ月連続プラス!」って見かけるだろう?明るい話題に見えるけどね、おじさんにはちょっと引っかかることがあってさ。今日はその裏側も含めて、じっくり話してあげようじゃないか。
そもそも「実質賃金」って何だ?
給料が上がっても、物価がそれ以上に上がったら意味がないだろう?そこで登場するのが「実質賃金」さ。名目賃金(実際にもらえる金額)から物価変動の影響を差し引いたもの、それが実質賃金だよ。
物価が3%上がって給料が1%しか上がらなければ、実質的には2%のマイナス。逆に物価の上がり方が鈍れば、給料の伸びが小さくてもプラスになれる。つまり、賃金と物価の「競争」なんだよね。
数値の根拠になっているのは厚生労働省の「毎月勤労統計調査」。常用労働者5人以上の約190万事業所から抽出した約3万3000事業所のデータを毎月集計している、れっきとした国の基幹統計さ。
2026年3月の最新データを見てみよう
厚生労働省が2026年5月8日に発表した数字がこれだ。
- 現金給与総額: 1人当たり31万7254円(前年同月比+2.7%)
- 実質賃金: 前年同月比+1.0%(3ヶ月連続プラス)
- 所定内給与(基本給): 27万1313円(前年同月比+3.2%)
- 総実労働時間: 132.7時間(横ばい)
特に注目してほしいのが所定内給与の+3.2%という数字だよ。3%以上の伸びが3ヶ月続くのは1992年10月以来、つまりバブル崩壊直後以来の水準なんだ。2025年の春季労使交渉(春闘)での賃上げと最低賃金の引き上げが、じわじわと統計に反映されてきているわけさ。
なぜプラスになれたのか?
実質賃金がプラスに転じた理由は、賃金上昇だけじゃない。物価上昇の鈍化も大きな要因なんだ。
2026年3月の消費者物価指数(持ち家の家賃換算分を除く総合)の上昇率は1.6%。なかでもエネルギー価格が前年同月比5.7%も下落したことが押し下げに効いている。これには政府の政策が絡んでいてね:
- 2025年末:ガソリン税の旧暫定税率を廃止
- 2026年1月:電気・ガス代の補助を再開
こうした「官製値下げ」が物価を抑え込んでいるわけだ。
先行きは「物価次第」という現実
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは、2026年5月8日付のレポートでこう分析しているよ。
先行きは、春闘賃上げや夏のボーナスを背景に名目賃金の安定的な上昇が期待される一方、実質賃金がプラス圏を維持できるかは物価次第である。
名目賃金は春闘の効果で安定的に上がる見込みだが、実質賃金のプラス継続は物価次第ということだ。懸念材料は3つある。
- 原油高: 中東情勢など地政学リスクによるエネルギー価格の再上昇
- 円安・資源高: 輸入コスト増加が小売価格に転嫁されるリスク
- 補助金の縮小・廃止: 政府のエネルギー補助がなくなれば物価が跳ね上がる
4月以降もプラス圏で推移する可能性は高いと見られているが、予断は禁物さ。
共通事業所ベースというもうひとつの視点
ちょっとマニアックな話だけど、これも知っておいてほしいんだよね。
毎月勤労統計には「本系列」と「共通事業所ベース」という2つの読み方がある。本系列は調査対象の入れ替えやベンチマーク更新の影響を受けやすい。一方、共通事業所ベースは「1年前と当月の両方で回答した事業所のみ」を集計するから、純粋な賃金の変化を捉えやすいんだ。
2026年3月の共通事業所ベースの数字はこうだ:
- 現金給与総額:前年比+2.5%
- 実質賃金:前年比+0.9%(4ヶ月連続増加)
本系列の+1.0%より少し低いが、それでも改善傾向は確かだよ。
平均値では見えない「格差の問題」
最後にもう一点、重要な話をしておこう。
実質賃金の平均がプラスになったとはいえ、その恩恵を受けられない人たちもいる。最低賃金層に目を向けると、「最低賃金水準で働く労働者が10年で4倍に増加した」という指摘もあり、不況型倒産が全倒産の8割超を占めているというデータも報告されている。
平均値が上がっても分配が偏っていれば、多くの人の実感とはズレてしまう。「実質賃金プラス」というニュースを見たら、「誰の賃金がどれだけ上がったのか」という視点を忘れないでほしいよ。
おじさんのまとめ
2026年3月、実質賃金は前年同月比+1.0%と3ヶ月連続プラスを達成した。所定内給与の伸びは1992年以来の水準に達しており、数字の上では確かに明るい兆しが見える。
ただしね、物価を抑えている政府補助金・減税政策が縮小されれば一気にマイナスへ転じるリスクもあるし、統計の計算方法変更という「見え方」の問題もある。ひとつの数字だけで判断するのは危険だよ。
「実質賃金プラス」というニュースを見たら、「どう計算したのか」「なぜプラスになったのか」「誰の賃金が上がったのか」と問い返す習慣をつけると、経済ニュースがぐっと面白くなるさ。おじさんみたいにね。じゃあまたな!
おじさんのうんちくコーナー:計算方法が変わると数字も変わる!
まあ、聞いてくれよ。ここが一番大事なポイントだから。
実は厚生労働省は2025年3月分から、実質賃金の算出方法を変更しているんだ。従来は「消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)」で計算していたのに、新方式では「消費者物価指数(総合)」を使うように変えた。
この変更の影響を2026年3月で比べると:
0.3ポイントもの差が生まれているんだよ!「政府が実質賃金を高く見せるために計算方法を変えたのでは」という批判的な見方も一部にある。数字の見た目は同じ「実質賃金」でも、どう計算したかで結論が変わってしまう。統計を読むときは「どんな方法で出した数字か」まで確認する習慣をつけておくと、ずっと賢く情報を読めるようになるよ。