やあやあ、久しぶりだね。今日はちょっと真面目な話をしようか。
「国民主権」って言葉、学校で習ったよな?でもさ、ちゃんとその重みを理解してる人って、意外と少ないんじゃないかと、おじさんは思ってるんだよ。憲法改正論議がにわかに盛んになってきた昨今、この言葉の意味をもう一度しっかり噛みしめてみようじゃないか。
そもそも「国民主権」って何なんだ?
日本国憲法の三大原則、覚えてるかい?国民主権・基本的人権の尊重・平和主義の三つだよ。その筆頭に来るのが「国民主権」だ。
日本国憲法は1946年11月3日に公布され、翌1947年5月3日に施行された。前文にはこうある——「ここに主権が国民に存することを宣言し」。たった一文だけど、これがどれだけ革命的だったか、わかるかい?
というのも、それまでの大日本帝国憲法(明治憲法)、1889年2月11日に発布されたこの憲法では、主権は天皇にあったんだ。第1条に「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とある。つまり、わずか60年足らずで、日本の主権者はがらりと変わったわけだよ。
おじさんが語る「国民主権」の深い歴史
ルソーが1762年に提唱した「社会契約論」
まあ、聞いてくれよ。国民主権という概念は、フランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソー(1712〜1778)が1762年に著した『社会契約論(Du Contrat Social)』で体系化されたと言われている。
ルソーは「人民こそが主権者であり、統治者はその意思を執行する者に過ぎない」と主張した。それまで「王権神授説」——つまり「王の権力は神から授かったもの」という考えが支配的だった時代に、これは相当な爆弾発言だったんだよ。
同じ頃、イギリスの哲学者ジョン・ロックは1689年に『統治二論』を発表し、「人民には革命権がある」とまで言い切った。これが後のアメリカ独立宣言(1776年7月4日)やフランス革命(1789年)に直接影響を与えたんだから、思想の力ってすごいよな。
GHQと日本国憲法誕生の舞台裏
今の日本国憲法、実はマッカーサー率いるGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が草案作りに深く関与していたことは有名だよな。1946年2月、GHQのチームはたった9日間で英語の草案を書き上げた。その中心人物の一人、チャールズ・ケーディス大佐は後に「あの9日間は生涯で最も充実した仕事だった」と語っている。
日本政府の当初案では、まだ天皇主権の色が残っていたとも言われる。しかし最終的に現在の形——象徴天皇制+国民主権——が採用された。憲法第1条「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」という一文に、その決着が刻まれているんだ。
憲法改正論議と国民主権の行方
近年、自民党を中心に憲法改正の議論が本格化している。2022年7月の参院選で自民・公明・維新・国民民主の改憲勢力が参院の3分の2以上の議席を獲得したことで、改憲発議に必要な条件が整ったとも言われた。
憲法改正の手続きは第96条に定められており、衆参両院それぞれで総議員の3分の2以上の賛成で発議し、その後の国民投票で過半数の賛成が必要だ。この「国民投票」こそが、まさに国民主権の象徴的な行使なんだよ。
日本でこれまで憲法改正の国民投票が実施されたことは一度もない。1947年の施行以来、2026年現在まで約79年間、一度も改正されていない成文憲法は、世界でも非常に珍しい存在なんだ。
まとめ — 主権者であることの重さ
国民主権というのはね、ただ「国民がえらい」という話じゃないんだよ。フランス革命で血を流した人々、ルソーやロックが命がけで書き上げた思想、そしてGHQの9日間の作業——そういった歴史の積み重ねの上に今の日本がある。
おじさんがいつも思うのは、「主権者である」ということは、政治を人任せにしないということだよ。選挙に行くのはもちろん、憲法改正議論に自分なりの意見を持つ。それが79年前に手に入れた権利への、せめてもの礼儀じゃないかな。
さあ、次の選挙、ちゃんと投票に行くんだぞ。おじさんとの約束だよ。
おじさんのうんちくコーナー:投票率と国民主権の皮肉な関係
「国民が主権者」と言いながら、その主権を行使する選挙の投票率、見てみると実に考えさせられるんだよ。
2021年10月の衆議院議員総選挙の投票率は55.93%。実に有権者の約4割以上が棄権したことになる。直近の2024年10月の衆院選では53.85%と、さらに下がった。戦後最低は1995年の参院選で記録した44.52%だ。
一方、投票率が高い国を見てみると、オーストラリアでは投票が法律で義務化されており、正当な理由なく棄権すると約20オーストラリアドル(約2,000円)の罰金が科される。そのため投票率は常に90%以上を維持している。
つまり「国民主権」とは、権利であると同時に責任でもある——おじさんに言わせれば、そこを忘れちゃいけないんだよ。