やあやあ、久しぶりだね。今日はちょっと地味に聞こえるけど、実はすごく大事な話をしようと思ってさ。「ナフサ」って聞いたことあるかい?

石油から作られるその液体が今、日本の産業界でじわじわと深刻な問題になっているんだよ。プラスチックも、合成繊維も、ありとあらゆる化学品の出発点がこのナフサなんだから、他人事じゃないぞ。

ナフサって何者だ?まず基本を押さえよう

ナフサというのは、原油を蒸留したときに30〜220℃の温度帯で取り出せる軽質の石油留分のことさ。英語では「Naphtha」、日本語では「粗製ガソリン」とも呼ばれるね。

このナフサ、日本では年間およそ3,000万トン前後が消費されていて、そのうちの約70%が石油化学原料として使われているんだ。残りはガソリンの調合原料なんかに回される。

日本の主要な石油化学コンビナートといえば、千葉、川崎、水島(岡山)、鹿島(茨城)、大阪・堺あたりが有名どころだね。これらの巨大工場がナフサを受け取って、エチレンやプロピレンといった化学品の基礎物質を作り出しているんだ。

なぜ今、ナフサが足りないのか

中東情勢と輸送コストの問題

日本が輸入するナフサの主な調達先は、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、カタールなどの中東諸国だよ。2023年から続く紅海情勢の緊張——フーシ派による商船攻撃——によって、スエズ運河を経由する航路が実質的に使えなくなってしまった。

その結果、タンカーはアフリカ南端の喜望峰を回る遠回りルートを選ばざるを得ず、輸送期間が従来の約25日から40日以上に延びてしまっているんだ。これが安定供給の大きな障害になっているんだよ。

国内製油所の老朽化と集約化

もう一つの問題が国内側にある。日本の製油所は2000年代から大規模な統廃合が進んでいてね。経済産業省のデータによれば、国内の製油所の原油処理能力は2005年の約490万バレル/日から、2023年時点では約300万バレル/日にまで縮小しているんだ。

国内でナフサを供給する能力が落ちているところに、輸入コストと輸送リスクが重なっている——これが今の「ナフサ不足」の構図なんだよ。

おじさんのうんちくコーナー:エチレンがなければ現代文明は成り立たない!

まあ、聞いてくれよ。ナフサから作られる最重要物質が「エチレン(C₂H₄)」なんだけど、これ一つで何が作れるか、ちょっと挙げてみようか。

  • ポリエチレン(PE):レジ袋、食品包装フィルム、ペットボトルのキャップ
  • 塩化ビニル(PVC):水道管、電線の被覆
  • ポリスチレン(PS):食品トレー、発泡スチロール
  • エチレングリコール:ペットボトル(PET)の原料、自動車の不凍液

日本のエチレン生産能力は2023年時点でおよそ年間620万トン規模(日本化学工業協会データ)。しかしこれでも1990年代のピーク時(約750万トン超)と比べるとかなり落ちているんだ。

ナフサが1トン値上がりするだけで、エチレンの生産コストが連鎖的に上がり、最終的にはスーパーの食品トレーからお前さんの家の水道管まで、ありとあらゆる値段に影響が出るんだよ。「石油化学は産業のコメ」なんて言われるけど、まさにその通りだね。

ナフサ価格の乱高下と産業界の悲鳴

数字で見るナフサ価格

ナフサの国際価格は原油に連動して動くんだが、2022年3月のロシアによるウクライナ侵攻直後には1トンあたり1,000ドル超えという高騰を記録した。その後いったん落ち着いたものの、2024年から2025年にかけての中東緊張再燃で再び700〜800ドル台に上昇している。

日本国内での取引価格(通称「国内ナフサ価格」)は、経済産業省が四半期ごとに告示するんだが、2024年第4四半期はキロリットルあたり約7万円台後半で推移した。これはプラスチック製品メーカーにとって非常に重いコスト負担になっているんだ。

政治の場でも議論されるべき話

実は2026年3月の参院予算委員会でも、エネルギー・資源調達のコストをめぐる議論が行われていた。高市首相への集中審議の場では、内閣不支持率が78.5%(西日本新聞の世論調査)という厳しい数字が示され、「審議時間より予算成立を」という議論にもなっていたんだが——おじさんに言わせれば、ナフサのような地味だが重要な資源問題こそ、予算委員会でしっかり時間をかけて議論してほしい話だよね。

エネルギー安全保障と化学原料の安定調達は、日本の製造業の根幹に直結する話なんだから。

日本が取りうる対策とは

原料の多様化

一つの突破口として注目されているのが、ナフサ以外の原料でエチレンを作る技術だ。アメリカやカナダでは、シェールガス由来のエタン(C₂H₆)を分解してエチレンを製造する「エタンクラッカー」が主流になっている。日本でも三菱ケミカルなどが、エタン原料の導入検討を進めているんだよ。

リサイクルと循環経済

もう一つが廃プラスチックのリサイクルによる「ケミカルリサイクル」だね。使い終わったプラスチックを熱分解して、再びナフサに近い形に戻す技術が実用化に向けて動いている。2023年に改正プラスチック資源循環法が本格稼働し、日本全国での廃プラ回収が義務化されたのも、この流れの一環さ。

まとめ:コンビニのビニール袋の裏にこんな話が

どうだい?ナフサって地味な名前だけど、これだけ深い話が詰まっているんだよ。

君がスーパーで手にする食品ラップ、薬局で買うシャンプーボトル、そして街を走る車の燃料タンク——全部ナフサから始まっているんだ。中東の情勢が変わり、海上輸送ルートが乱れ、製油所が集約されていく中で、日本の「ものづくり」を支えるこの原料の安定調達は、これからますます重要な課題になっていくよ。

おじさん的には、政治家の先生方にはこういう「地味だが本質的な」問題にこそ、しっかり予算と頭を使ってほしいと思うんだけどね。

また面白い話ができたら声をかけるよ。それじゃあね!