やあやあ、みんな元気かい?

最近、ニュースを眺めてたらやたらと「インシデント」って言葉が飛び込んでくるじゃないか。航空機の話、病院の話、情報漏洩の話……。なんとなく「問題が起きた」ってことはわかるけど、「インシデント」って結局何なんだ?って思ってる人、いるだろう? おじさんに言わせれば、この言葉の意味をきちんと知っておくことが、今の時代を生きる上で意外と大事なんだよ。


そもそも「インシデント」って何だ?

「インシデント(incident)」は英語で「出来事・事件」を意味する言葉だけど、日本のビジネスや行政の現場では少し特殊な使われ方をしているんだ。

一言で言えば、「事故には至らなかったけど、放置すればアウトだった出来事」のことさ。

航空の世界では国土交通省が定義を持っていて、「航空事故」と「重大インシデント」は明確に区別されている。2025年度の上半期(2025年4月〜9月)の統計によると、国内で航空事故が2件、重大インシデントが1件発生したと国土交通省が発表したんだ。「たった3件か」と思うかもしれないけど、これは氷山の一角でね……その下には無数のヒヤリハットが潜んでいるんだよ。


ヒヤリハット理論って知ってるかい?

ここでちょっと深掘りしてみようか。

ハインリッヒの法則 — 1対29対300の話

労働安全の世界に「ハインリッヒの法則」という有名な理論があってね。1931年にアメリカの損害保険会社の安全担当者、ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが発表したんだ。彼は7万5,000件もの労働災害データを分析して、こんな比率を導き出した。

  • 重大事故 1件 に対して
  • 軽傷事故が 29件
  • ヒヤリハット(未遂)が 300件

起きているというんだ。つまり、表に出た「重大インシデント1件」の裏には、報告されていない数百件の「あぶないな」という経験が積み重なっているわけさ。航空の世界でも医療の世界でも、これは同じなんだよ。

医療現場のインシデントは今、深刻な段階に

最近、看護師による不祥事が相次いで報道されているだろう? SNSへの不適切な投稿が問題になっているだけじゃない。過去には、患者の点滴に消毒液を注入するという信じ難い事件まで起きているんだ。

そして2025年には、ある看護師が自分の担当患者の電子カルテ画面をそのままInstagramに投稿するという事案が発覚した。患者の個人情報が映り込んだ状態での投稿で、医療情報セキュリティの専門家からは「医療従事者としてあってはならない行為」として強く非難されている。

電子カルテが日本の病院に本格普及し始めたのは2000年代以降のことだが、2020年時点で一般病院での電子カルテ普及率は約57.2%(厚生労働省調査)。デジタル化が進む一方で、スマートフォンで「パシャ」と撮ってSNSに上げる習慣が、深刻なリスクに直結してしまっている現実があるんだね。

おじさんの豆知識コーナー

「インシデント」という言葉の歴史、知ってるかい?

この言葉がITセキュリティ分野で使われ始めたのは1990年代のことだよ。きっかけは1988年に起きた「モリスワーム事件」。コーネル大学大学院生のロバート・タッパン・モリスが作ったプログラムが意図せず暴走して、当時インターネットに接続していたコンピュータ約6,000台(全体の約10%!)を機能不全に陥らせたんだ。この事件を受けて、カーネギーメロン大学にCERT/CC(コンピュータ緊急対応チーム)が設立された。それ以来、サイバーセキュリティの世界では「インシデント対応」という概念が定着したのさ。

ちなみにモリス本人は1990年に有罪判決を受けたが、その後スタンフォード大学で博士号を取得し、MITの教授にまで上り詰めたというから人生はわからないものだねえ。


インシデントが「事故」にならないために何が大事なのか

おじさんが思うにね、インシデントが繰り返される原因って、だいたい3つに絞られるんだよ。

1. 「まあいいか」の積み重ね

航空業界には「CRM(クルー・リソース・マネジメント)」という考え方がある。1979年にNASAが提唱したもので、コックピット内での意思疎通の失敗が重大事故につながることを示したんだ。それ以来、パイロット訓練に組み込まれるようになった。「副操縦士が何か言いかけたけど、機長が無視した」——この小さな「まあいいか」が、後の大惨事につながることがある。

2. デジタル化に心理がついていかない

電子カルテを「紙のカルテのデジタル版」と感じている医療従事者がいる限り、「写真を撮ってSNSに上げる」行為のリスク認識は追いつかない。情報セキュリティの教育と、現場の実感のズレが問題なんだよ。

3. 報告しにくい文化

「ミスを報告したら怒られる」「自分の評価が下がる」という恐れから、ヒヤリハットが報告されない職場では、インシデントが表に出ないまま重大事故へ育ってしまう。逆に心理的安全性が高い職場では、インシデントの報告数が多い——でも事故は少ない。これ、調査データが示している事実なんだよ。


まとめ — インシデントは「失敗の予告状」だ

ちょっと聞いてくれよ、最後に大事なことを言うよ。

インシデントというのは、社会が私たちに送ってくる「予告状」なんだと思うんだ。「次は本当の事故になるぞ」っていうサインさ。それを無視したら、そのうち取り返しのつかないことになる。

航空事故にしても、医療不祥事にしても、情報漏洩にしても——一件一件のインシデントを「対岸の火事」と眺めていたら、いつかこちら岸も燃えるんだよ。

まあ、おじさんの話が少しでも「インシデント」というものを身近に感じるきっかけになれば嬉しいね。次のニュースをみた時、少し違う目で見えるはずさ。

じゃあまた、ひとつかしこくなったところで!